社労士による「うつ病にして追放してしまえ」というブログが話題に
ブログタイトルは「すご腕社労士の首切りブログ モンスター社員解雇のノウハウをご紹介!!」というもので、問題になったのは「40回 社員をうつ病に罹患させる方法」という記事でした。他にも少なくとも39の「首切り」のための記事が書かれていると思うとゾッとしますが、労働者をうつ病にして追い出すと法律上どうなるのかを見ていくことにしましょう。
そもそも社労士とは?
社労士とは社会保険労務士の略称です。そして、社会保険労務士とは、労働保険、社会保険に関する法令に基づく申請書の作成・提出等の事業を業として行う者のことです。社労士の資格は国家資格となります。社労士の役割について、全国社会保険労務士会連合会のサイトでは
社労士は、労働・社会保険に関する法律、人事・労務管理の専門家として、企業経営の3要素(ヒト・モノ・カネ)のうち、ヒトの採用から退職までの労働・社会保険に関する諸問題、さらに年金の相談に応じる、ヒトに関するエキスパートです。
と紹介しています。ちなみに、弁護士も弁護士業務に付随する場合には社労士の職務を行うこともできますが、原則として資格独占業務となります。
社員をうつ病に?それだめでしょ常識的に考えて・・・
うつ病などの精神疾患になるまで追い込むような行為は、民事上はもちろん、刑事責任にも発展しかねません。民事で損害賠償請求されるほか、刑事では傷害罪や強要罪などに問われる可能性もあります。
少なくとも、パワハラにあたるでしょう(詳しくはパワハラについて、加害者も被害者も知っておくべき5つのことをご覧ください。)。
今回のブログの社労士の方が言いたかったのはヒトの退職についての自称プロの技ということになるでしょうが、社労士の信用と品位を害するもので社労士法違反です。というか、常識的に考えてダメでしょ・・・
解雇したいのであれば正面切って解雇するか、合意の上で退職してもらいましょう。
そして、適法な解雇かどうかを判断するのは専門的判断にになりますから社労士なり弁護士なりに相談頂ければいいかと思います。
モンスター社員?と解雇
たしかに、日本の法制度では解雇はかなり難しいところがあります。一方で、会社から見ればかなり困った社員が存在しうることもあるでしょう。
では、そういった社員に対してはどうすればいいのかというと、懲戒事由があるのであればそれにしたがっていわゆる懲戒解雇をするということになります。でなければ、使用者の勝手でモンスター社員というレッテルを貼ってしまているだけです。使用者にとって扱いにくい労働者もいるでしょうが、法律上そんな簡単に解雇することは認められていません。
また、普通解雇の要件をできるだけ具備するように予め会社側がそれなりの準備をする自体はありうると思います。しかし、解雇するには使用者は諸々の覚悟が必要です。詳しくは解雇と言われたら押さえておきたい4つのポイントをご覧ください。
この社労士は愛知県社労士会会員としての会員停止処分及び退会勧告といった処分を受けています。かなり厳格に対処しましたね。
この件に関する愛知県社労士会会長の声明はこちら。