ドローンを巡る法律問題

ドローン、流行ってます!

ドローンという言葉を知らないという人はかなり減ったのではないでしょうか。首相官邸の屋上にドローンが着陸したといったニュースで一躍全国的な知名度が上がったという面もある気がしますが、誰でも簡単に操作できるという点で人気を博しているかと思います。

ドローンにも室内で飛ばせるほど小型なものもあれば、テレビ局が空撮にも利用するほどしっかりとしたドローンもあるようです。また、海外では通販業者が配達に用いるなど用途も様々なようです。

このドローン、家電量販店などで売られているようで簡単に買えます。とはいえ、飛行機等の運航の妨げになってはいけませんし、空撮によるプライバシー侵害、テロ利用など様々な弊害も多く語られているところです。

航空法の改正

以前はドローンの運用に関する明確な法ルールがなかったため、規制をめぐって様々な議論が交わされていましたが、現在では航空法が改正され施行されていますので、改正された航空法を簡単に見てみたいと思います。

ただし、実際にこれからドローンを飛ばそうという方は国土交通省のHPを実際に一読してください。

飛行の許可が必要となる地域

国土交通省HPより抜粋

すごくわかりやすくて説明の必要がないですね。ここからだけでわからないのは人口集中地区は実際どこなのかという点です。

人口集中地区は国勢調査の結果設定される地域のことで、①原則として人口密度が1平方キロメートル当たり4000人以上の基本単位区等が市区町村の境域内で互いに隣接して、②それらの隣接した地域の人口が国勢調査時に5000人以上を有する地域のことだそうです。平成27年に国勢調査が行われたばかりですが、平成28年3月現在人口集中地区についての結果報告は行われていませんので平成22年のものを参照することになります。総務省統計局のHPで人口集中地区全面図や人口集中地区都道府県別境界図が掲載されています。ただし、当該サイトにも記載されている通り詳細は国土交通省航空局安全部安全企画課に問い合わせてくれとのことなので実際にドローンを屋外で飛ばす際には確認しておくべきでしょう。ちなみに、タブレット端末専用アプリ(スマートフォンでは使用できない)の「マップDe統計」でも簡易的に確認はできるようです。

無人航空機の飛行の方法

飛行することができる場所や場所につき許可を得た場合であっても、飛行させる方法にも条件が設定されています。その方法は以下の通りです。

①日中(日出から日没まで)に飛行させること、②目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること、③人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車等)との間に30m以上の距離を保って飛行させること、④祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと、⑤爆発物など危険物を輸送しないこと、⑥無人航空機から物を投下しないこと

これらの方法によらずにドローンを飛行させる場合には、あらかじめ、国道交通大臣の承認が必要となります。

<承認が必要となる飛行の方法>

国土交通省HPより抜粋

許可・承認の手続き

上記の場所に関する許可や方法に関する承認については飛行開始予定日の少なくとも10日前までに申請しなければなりません。空港等の周辺又は地上等から150m以上の高さの地域における飛行の許可については空港事務所長に、それ以外の許可・承認の申請は国道交通大臣に郵送等で行わなければならないとのことです。その他詳細は上記の国道交通省のHPを参照してください。

報道などによれば、業者に限らず一般の方からの申請も想定以上の申請があるようですから、ドローンをお持ちの方は申請を検討してみるのもいいかもしれませんね。

航空法だけを守ればいいわけではない

ドローン規制として改正された航空法の上記ルールに反した場合には50万円以下の罰則を受けることがあります(航空法157条の4)。ドローン飛行にあたって航空法は最低限守らなければならない法律であることには違いないのですが、それ以外の法律も当然ながら守らなければなりません。

ドローン飛行やその装備によって他人に危害を加えれば、不法行為に基づく損害賠償請求や過失傷害罪・傷害罪に問われることもあり得ます。また、カメラを装備しての飛行であれば、写真・動画撮影にあたっての一般的なルールも守らなければなりません(詳しくは、その撮影、違法です?写真を撮るときの法律問題について。をご覧になってください。)。また、当該記事では直接触れませんでしたが、盗撮はもちろんダメです。

所有権侵害?

また、ドローンを飛ばせば公園等はさておき、他人の住居や建物・施設の上空を通過することになります。これらの建物等がある土地の上空は当該土地の所有者の所有権であると一般に考えられています。なので、形式的にいえば通過する全ての土地所有権者の承諾を得なければならないと考えられなくもありませんが、結論からいうと承諾は原則として不要でしょう。ちなみに、飛行機も上空を通過していますが、300m以上上空にまでは所有権は及ばない(航空機の最低安全高度が300m)というのもまた一般的な考えですので、航空会社が日本全土の土地所有権者の承諾を得たりしているわけではありません。しかし、ドローンは300m以下を飛行するのが通常ですから(150m以上は許可が必要)、所有権侵害と言えばその可能性はあります。なお、これらの数字は法律に定まっているわけではなく解釈上言われているに過ぎません。

なぜ、不要なのかと言うと、まずドローンはヒトではなく住居侵入が成立することは想定されていません。ただ、操縦した人が侵入者であるという考えもあり得なくはないですが、通常の飛行態様では大丈夫と考えて問題ないでしょう。また、所有権侵害を理由とする損害賠償請求も土地所有者の「損害」が考えられませんから大丈夫でしょう。ただ、他人の土地に急接近するなど場合によっては問題があることもありえます。できれば他人の土地の上空飛行は避けた方がいいかもしれません。どんな最先端技術であっても操作する人も、また作った人も「人」である以上間違いはあり得ますから、落下の危険がないとはいえないからです。

航空法改正により無秩序状態ではなくなりました。実際に、航空法違反での警察の捜査も行われているようです。航空法に限らず利用するにあたっては、ルールを守って楽しみましょう。

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