定期賃貸借契約について注意するべき4つのこと

定期賃貸借契約とは?

定期賃貸借契約とは、期間を定めた上で、更新がない旨を定める賃貸借契約のことをいいます。借地の場合は建物の建造による存続期間の延長や建物買い取り請求をしないことを定めることとなります。更新がない以上、期間が経過すれば正当事由がなくても借り主は明け渡さなければならなくなることから、借り主保護をかなり緩和した賃貸借契約といえます。

定期賃貸借契約は、貸主側が一定期間経過後には使用する予定がある場合などに用いられます。実際貸主側としては退去トラブルを避けることができるうえ、立退料の支払いもないことから多くの利用があってもよさそうですが、国土交通省による平成26年度住宅市場動向調査によると、定期借家契約は通常の借家契約の3.2%となっており、以前大半が通常の借家契約であることがわかります。

また、定期賃貸借契約を「知っている」人は11.2%、「名前だけは知っている」人は30.7%、「知らない」人は57.5%と、そもそも認知されていないというのが現状であり、過去と比べても認知度が上昇していないという状況のようです。

賃借人の保護はかなり厚い!

上記のような定期賃貸借契約は、ある意味では民法典に記載された通常の賃貸借契約であるといえます。借地契約や借家契約については、借地借家法という特別法によって通常の賃貸借契約を賃借人保護のための種々の制限が設けられているのです。

たとえば本や車の貸し借りであれば契約期間を経過すれば借りたものを返さなければなりませんよね。

しかし、家や土地を借りる場合には契約期間を経過しても当然にその期間が更新されるのです。貸した側がなかなか返してといえないのが借地借家契約ということになります。借地借家契約であれば、このほかにもいざ土地を返す際に、土地上に立てた建物については賃貸人が買い取ってくれといえる建物買取請求権が認められていたりします。

このように賃借人を保護してきた結果、その反動で貸し渋りが生じるようになりました。たくさん土地を持った人が貸し渋れば何も使用されていない土地が多く発生し社会経済的にも好ましくありません。そこで、これらの賃借人保護を軽減しようとするのが定期賃貸借契約ということになります。

定期賃貸借契約の必要条件

通常の賃貸借契約で賃借人が厚く保護されているのは、賃借人の居住権などは社会生活を送る上でなくてはならないものですから、賃借人を保護しようとしたためです。したがって、この保護を簡単に覆すことができたのでは借地借家法が存在する理由がなくなってしまいかねません。そこで、定期賃貸借契約を締結するには必要となる条件が定められています。

まず、借地権の場合は50年以上(事業用途であれば30年以上)の期間でなければいけません。しかし、借家権の場合は期間の制約はありません。むしろ、通常は許されていない1年未満の借家契約とすることもできます。

次に、貸し主側は当該契約が定期賃貸借契約である旨を説明したうえ、その旨記載の書面を契約書とは別途交付する義務を負います。

さらに、定期賃貸借契約を締結するにあたっては、公正証書等書面によらなければなりません。公正証書とは、公証役場において法律の専門家である公証人が作成する書面のことです。公正証書は、判決がなくても強制執行することができます。もっとも、公正証書「等」となっているように、実は、公正証書である必要はありません。公正証書は手間も費用もかかりますので、通常は契約書を作成することが多いでしょう。

定期賃貸借契約でも更新できる?

更新がない旨定められた定期賃貸借契約ですから更新することはできないのではとお考えになるかもしれません。

しかし、賃貸人側から契約を更新するよう提案し実際に更新することは問題ありません。賃貸人にとって不利益とはならないからです。むしろ、継続的に収益をあげることができるのですから、期間満了時にいまだ当該土地建物を使用する予定がなければ貸すことが賃貸人にとって利益となります。

もっとも、この際「更新」と呼ぶのは適切とはいえません。

正確には、「再契約」となります。再「契約」ですので、上記の定期賃貸借契約の必要条件を再度充足させる必要があります。また、再契約ですから新たに契約を締結することになるので、改めて連帯保証人等の保証を要求することが必要となります。

これら点を見落とすと、普通賃貸借契約が成立したものと解釈される可能性がありますので、賃貸人としては注意したいところです。

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