いざ社長へ!法人成りするメリットと注意点
- 2015/8/12
- diary
ここが違う、個人事業主と会社経営
いざ事業を始めようとするとき、誰が主体となって事業を運営しようとするかを決めなければなりません。何もせずに、事業の運営を始めればそれはあなた自身が個人事業主となって事業を運営すると言うことになります。普通は、何か事業を始める場合にはこのように個人事業主として始めることが多いのではないでしょうか?
しかし、みなさんご存じのように、世の中にはたくさんの会社が事業を運営していますよね。
実は会社にもいくつか種類があるのですが、大半は株式会社です。
個人事業が軌道に乗ってきたので、あるいは軌道に乗せるために、会社化を検討している方も多いのではないでしょうか。
なぜ、会社化するのか。今日はそのメリットとデメリットをみていきましょう。
個人事業は、私人であるあなた自身が主体となって事業運営を行うのに対し、会社はその会社という法人が主体となって事業運営を行うことになります。会社類型によりますが、会社の場合のあなたは会社設立に携わるという形で関与することになるでしょう。個人事業である限り、その成果も責任もあなたが負うことになります。莫大な利益を得ればそれはあなたの利益になる一方、借金苦になった場合にその借金を返すのもあなたになるということです。
会社の場合、利益を得てもあなた自身は報酬や給与という形でしか利益を得ることができません。借金をしても、個人で保証人になっている場合でなければ(それが通常の形態になってしまっていることはさておき)、直接に会社の借金があなたの借金になるといったことはないのです。
これが個人事業主と会社経営を選択することによる制度の直接的である最も大きなメリットということになるかと思います。
ただ、もちろん個人事業と会社事業の違いはまだまだあります。
個人事業を会社にするメリットと注意点をそれぞれ見ていこうと思います。
あるよ!会社にするメリット
会社にすると、①税制、②信用、③給与所得控除、④保障、⑤決算日という点でメリットがあるといわれています。
①税制
個人事業主の所得にかかる税制は所得税です。一方、法人の所得にかかる税制は法人税です。どのように定められているかというと以下のようになります。
個人事業主の場合(所得税)
所得年度総額(円) | 税率 |
195万以下 | 5% |
195万超 330万以下 | 10% |
330万超 695万以下 | 20% |
695万超 900万以下 | 23% |
900万超 1800万以下 | 33% |
1800万超 | 45% |
会社の場合(法人税)
所得年度総額(円) | 税率 |
800万以下 | 15% |
800万超 | 25.50% |
こうしてみると会社にした方が税金の観点からはものすごくお得にみえますが、この他にも住民税や事業税がかかることも考慮しないといけません。これらを考慮すると、結局、40%前後の税金を所得に応じて支払わないといけないことになります(法人実効税率といいます。)。それでも、売上が高くなるほど、個人に比べれば節税効果があるといえそうです。
②信用
個人事業主は責任主体が個人である以上、どうしても商取引において信用を得にくいという側面があるようです。特に銀行からの借り入れなどは会社にしている方が借りやすいということは実際にあるようです。
事業運営にあたってこの信用は大事なことはいうまでもありません。個人事業主が全く信用がないというわけではないですが、比較すると法人の方が信用があるということです。
③給与所得控除
会社を立ち上げると個人の所得は事業所得から給与所得に切り替わります。これにより、個人の給与から所得控除されるので、所得税等の課税対象所得が減少することになります。これも税制のメリットのひとつといえます。
④福利厚生的保障
まず、退職金の扱いが異なります。個人事業の場合、退職金という概念が基本的にありません。家族従業員等に対する退職金も経費扱いにすることができません。これに対して、会社の場合であれば退職金を本人も受け取ることができ、経費として処理されます。この他にも事業用車や事務所兼住居、生命保険などの扱いも会社の方が優位であるといえるでしょう。
⑤決算日
個人事業は1月~12月が事業年度と決められているのですが、会社であれば事由に決算日を決めることができます。運営する事業によってはかき入れ時となる時期などを考慮して決算日を決めることができれば、節税になるような場合もありますから、この点もメリットとなるでしょう。
会社化する際の注意点
一方、会社にすると費用に関する諸々で注意点があります。
まず、会社を設立するに際しては、設立のための手続とその費用がかかります。例えば、株式会社であれば定款作成や登記申請にかかる各種諸費用により最低でも25万円程度はかかります。なお、最低資本金制度というような制度も昔はありましたが、いまでは0円設立が認められています。
さらに、従業員が1人でもいれば社会保険への強制加入が義務づけられています。これによる費用負担もあることに注意が必要です。とはいえ、従業員の福利厚生につながるものであり完全にデメリットとまでは言い切れないでしょう。
この他にも、会計処理など会社であることによる諸事務の作業量が単純に増加しますので、純粋な事業以外の労働時間も必要となります。
なお、交際費についても扱いが異なります。
個人事業主であれば、それが交際費といえれば無制限に経費として計上することができます。法人の場合、まず資本金1億円を超えるか否かによっても扱いは異なります。資本金1億円以下の会社であれば年間800万円までが経費として扱うことができます。もしくは、飲食に要する費用の50%を経費とし、それ以外は経費とならないといったような選択をすることも許されるようになりました。一方、資本金1億円を超える会社の場合は、交際費を経費として扱うことができないということになります。
結局どっちの方がいい?
一概にどっちがいい!と言い切ることはできません。メリット・デメリット両方ありますから、どちらがより自分に合っているかを見極めることが大事になるかと思います。
初期費用がかかる事業で手元に資金がなければ銀行などから融資を受けないといけないことがほとんどでしょう。
法人の方が信用の点で融資を受けやすいといいましたが、事業を始める場合には大差ないでしょう。銀行も、法人だから貸してくれるというようなゆるい審査ではないです。
また、補助金・助成金といった制度も用意されているのでこれらも含めて検討してみることをおすすめします。補助金・助成金についてはあなたももらえる!中小企業(個人事業主)の補助金・助成金をご覧ください。