節税法の決定版!ふるさと納税を活用しよう。

ふるさと納税ってどんな制度?

ふるさと納税は、その名前からふるさとに納税する制度、とも思われがちかも知れませんが、実際はふるさとに寄附する制度になります。正式には、「自分の選んだ自治体に寄附を行った場合に、寄附額のうち2,000円を越える部分について、所得税と住民税から原則として全額が控除される」(上限額あり)といった制度で、まどろっこしいですが結局ふるさとに納税するといっていいでしょう。そして、地方によっては寄附する金銭の使い方を決めることもできますし、寄附のお返しとして特産品を贈呈してくれる場合もあります。制度趣旨としては、地方応援、地域活性、税金用途の自己選択といったことがあげられています。

このふるさと納税は個人が出来る節税の決定版といっていいでしょう。平成27年現在では、5ヶ所までの自治体への寄付であれば確定申告が不要になっていたり、クレジットカードを利用した寄付ができるようになっているなど、かなり使い勝手も良くなっています。

個人、特に節税の手段があまりないサラリーマンの方などにとってはとてもインパクトを持った節税方法ですので、として少し詳しく説明していきましょう。

ふるさと納税のポイント

ふるさと、とはいいますが、日本全国どの地方に寄附してもかまいません。もちろん、出身地でもいいですし、好きな地方、好きな特産品がある地方、今住んでいる地方どこでも構わないということになります。自分が住んでいる自治体にふるさと納税すれば、税金の使途が選べる場合があります。

また、どの地方に寄附しても構わない上に好きなだけ複数の自治体に寄附することも認められています。寄附する自治体の数に制限はありません。ただし、後述のワンストップ特例は5つの自治体を超えると利用できません。

気をつけなければならないのは税金控除についてです。所得税についてはふるさと納税を実施した年度の所得税から控除するということになっています。控除といっても還付です。一度ふるさと納税で出て行ったお金が控除分あなたの口座に帰ってくるということになります。一方、住民税についてはふるさと納税をした翌年度の住民税から減額されます。

 

ふるさと納税の流れ

ではどうやってふるさと納税をするのかを見ていきますが、後述のワンストップ特例をご利用の場合は後で見ることにします。

ふるさと納税はしたい自治体のウェブサイトの税金のページに行けば当該自治体のふるさと納税のリンクがあると思います。とはいえ、結構見つけにくいです。また、総務省の「ふるさと納税ポータルサイト」から各自治体のふるさと納税のページに行くことができます。とはいえ、これも結構使い勝手がよくない笑。そこで、GoogleやYahoo!で「ふるさと納税」と検索してみてください。私企業が運営しているポータルサイトがヒットすると思います。そこからは特産品別に検索することも出来たり、税金の使い道で検索できたりと非常に自治体を選びやすいのでおすすめです。さらに当該サイトから直接ふるさと納税が出来るので面倒な手続がなく、クレジットカードによる決済もできるので、クレジットカードのポイントもゲットできます。

ふるさと納税を行うと受領書が発行されるのでこれを受領します。この受領書を添付してふるさと納税した年度の3月15日までに住所地所轄の税務署に確定申告してください。これにより、所得税や住民税の控除を受けることができます。ただし、普通の会社員の方は「確定申告」と聞くとかなり抵抗を感じるのではないでしょうか。そのためか、平成27年の税法改正で5ヶ所までの都道府県や市町村への寄付であれば確定申告が不要になりました(ふるさと納税ワンストップ特例制度)。

 

どれくらいお得?=寄付金をほぼ全額控除の破壊力!

ふるさと納税の仕組みはわかっても気になるのはどれくらいおとくか?ということでしょう。

結論からいえば、かなりお得です。寄付した金額のほぼ全額が税額から控除されます(「寄付金-2000円」の金額分の税金を払わなくてよくなります)ので、2000円で各地域が返礼品として提供してくれるものを受け取れるということです。ただし、寄付する人の所得によって、控除される金額に上限があります。

控除されるのは所得税と住民税です。一応、どういう計算で税金が控除されるか記しておきますが、非常にわかりにくいので、読み飛ばしもらって構いません(笑)。

 

所得税からの控除

「(ふるさと納税額ー2,000円)×所得税の税率」が所得税から控除されますが、その限界(年間上限)は総所得金額等の40%までとされています。

 

住民税からの控除(通常)

「(ふるさと納税額ー2,000円)×10%」が住民税から控除される基本分となりまして、その限界(年間上限)は総所得金額等の30%までとされています。

 

住民税からの控除(特別)

「(ふるさと納税額ー2,000円)×(100%ー10%(基本分)ー所得税の税率)」が住民税所得割額の2割を超えるまではこの額が住民税から控除される特別分となります。住民税所得割額の2割を超える場合は、「(ふるさと納税額ー2,000円)×20%」が住民税から控除される特別分となります。

ちなみに住民税所得割額とは住民税のうち所得に応じて課されるもののことで、「(前年の所得額ー所得控除額)×10%ー税額控除額」によって計算できます。所得控除額とは、基礎控除、扶養控除、社会保険料、生命保険料、医療費控除などとなります。税額控除額とは、寄付金、住宅ローンの金利、ふるさと納税などになります。

 

人によって異なります

結論をもう一度いうと、基本的には2,000円の自己負担のみでふるさと納税した分が所得税、住民税から控除されるということになります。しかし、上限は常に気にしなければなりません。上限を超えてしまっては控除されずにただ寄附するだけ、となってしまいます。もっとも、自己負担額は多少増えても返礼品がもらえるならいいと考えれば、あまり気にしすぎる必要はないかもしれません。

控除上限についてポイントとなるのは、住民税からの特別控除額が住民税所得割額の2割を超えるかどうかです。家族構成や医療費の程度、住宅ローンの有無などなど、人それぞれに住民税所得割額が決まるということです。

せっかくならお得にふるさと納税という制度を利用したいですから、負担額2,000円になるよう計画的に利用したいですね。

実際に自分の上限額がどの程度か知りたいという方は、グーグル検索などで「ふるさと納税 計算」などと検索すれば計算できるサイトがヒットするかと思いますのでそちらを是非ご利用ください。

 

給与所得者は確定申告しなくていい?

「ワンストップ特例制度」というものを利用すれば、一部の人は確定申告を利用することなくふるさと納税を利用して税金の控除を利用できます。利用できる人は、「ふるさと納税をする自治体が5か所以内」で「もともと確定申告をする必要がない人」ということになります。つまり、サラリーマンの方など給与所得の方は普段確定申告を行っていないでしょうからこの制度を利用できるということになりますね。

この制度を利用したい場合は、ふるさと納税をした自治体に「寄付金税金控除に係る申告特例申請書」を郵送する必要がありますが、これだけということになりますので、非常に便利ですね。自治体によっては寄附後に当該自治体からこの申請書が郵送される場合もあるようですが、詳細はふるさと納税先の自治体でご確認ください。この場合は、所得税から控除されることなく、翌年の住民税から控除されますので所得税還付はありません。

 

ふるさと納税の財源とこれから

ふるさと納税の財源とワンストップ特例制度

ふるさと納税は本来の所得税と住民税に代わって住んでいない自治体に寄附するというものです。つまり、本来の所得税と住民税とがこの制度の財源ということになります。そして、住民税の減少分は地方交付税交付金により75%は補てんされるのですが、東京都や東京都23区などの自治体はこの地方交付税交付金が交付されないこととなっていますので、100%自己負担ということになっています。

つまり、基本的には国が負担するのですが、一部地方自治体負担、場合によってはその大部分を地方自治体が負担するという制度なのです。この負担割合にさらに拍車をかけるのが「ワンストップ特例制度」なのです。ワンストップ特例制度は所得税控除を住民税控除に転嫁するものともいえますから、寄付金をもらえない地方自治体の負担は増えるばかりです。地方自治体の負担は住民サービスに負担として返ってくる可能性もあります。

 

ふるさと納税の現状

ふるさと納税はそのお得さあってか利用している方もかなり増えてきたようです。自治体によってはふるさと納税により本来の住民税の2倍の税収があったというケースもあるようです。これにより、今までの財源では手の付けようがなかった施策にも打って出られますので、老朽化した施設設備などが改善されているようです。税収増加ももちろんですが、特産品に関する雇用創出などもあって地域の活性化になっているケースもあります。

ちなみに、私の故郷である鹿児島県鹿屋市のふるさと納税制度を利用した寄付金額は、制度が始まった平成20年~平成24年については30~55件の寄付があり金額としても350万円~550万円でしたが、平成25年には41件の寄付で1500万円以上、平成26年には81件の寄付で2600万円以上と増えてきています。そして驚くなかれ、平成27年は4月から9月の半年間で、何と7626件の寄付で1億6000万円以上の寄付金が集まっています。たぶん1年間では3億円以上いくのでしょう。ちなみに鹿屋市の平成25年の予算の自主財源は15億円弱ですので、年間3億円の寄付がいかに大きいかわかります。平成27年に爆発的に寄付金件数と金額が増えた理由はわかりませんが、おそらくワンストップ特例制度の認知が高まっているのと、鹿屋市が寄付金の受付方法にクレジットカード利用を始めたり、ポイント制を導入したことも大きいのではないでしょうか。

私の故郷のように(?)ふるさと納税により潤う地域もあれば、その逆の地域もあります。東京に限らず、ふるさと納税開始後住民税が減っている自治体もあるのです。これは、特産品を中心としたサービス格差により、力を入れた自治体は増収になる一方、他と見劣りするようなサービスであれば減収になりかねないということです。東京vs地方のみならず、地方vs地方の税金争奪戦ともいえるような状況ともいえるでしょうか。ちなみに総務省サイトで私が調べた限りでは、平成27年4月~9月で寄付金を最も集めたのは宮崎県都城市で、13億3000万円以上です。次いで、山形県天童市が12億円以上の寄付金を集めています。ものすごいインパクトですね。

減収になっている自治体を今後どうするかといった政治的課題でもありますが、制度をよく知った上で、ふるさと納税を利用するかしないという選択や、ワンストップ特例制度を利用するかしないかという選択は個人個人でできることです。お得分が先行しているふるさと納税ですが、税金(正確には寄付金ですが実質は税金といってよいでしょう)の使い途を選択できるという点は今までになかったことです。

お得分はもちろん見逃せないですが、自分の自治体の現状や納税先での税金の使い途などよくよく知った上で、積極的に使い途を指定して利用してみたいところです。

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