派遣、パート・アルバイト、契約社員、何が違うの?

正規従業員と非正規従業員

派遣、パート、契約社員、何が違うのかを知るにあたっては、そもそも正規従業員と非正規従業員の何が違うのかを知る必要があります。

この2つの違いはわかりやすいです。

正規従業員とは、期間の定めのない労働契約を結んで、雇用主のためにフルタイムで働く従業員のことをいいます。雇用が長期間継続することが予定され、同時に使用者の解雇権が厳しく制限され、おおむね年齢に従って賃金が上昇し、企業の福利厚生制度に加入しているなどの特色を有しています(最近は、もっと多様化している印象ですが。)。

これに対して、非正規従業員とは、雇用期間の定めがあったり、1日又は1週あたりの労働時間が正規従業員と比較して短かったり、又は、派遣主のために労務を提供するなどの点で正規従業員と異なる従業員のことをいいます。一概には言えませんが、正規従業員のように長期間の継続雇用が予定されず雇用が不安定であったり、賞与・退職金がないなど待遇面で正規従業員より劣っている場合が少なくないです。国際的には非典型労働者(atypical employment)といったりもするようです。

法律上は、労働者の区別につき基本的に以上の区別しか存在しません。派遣、パート、契約社員という区別は非正規従業員のなかでの契約条項の違いによります。そこで、各区別による雇用形態についてみていきたいと思います。

何が違う?派遣、パート・アルバイト、契約社員

契約社員

契約社員は、雇用期間の定めがない点で非典型的な雇用形態ということになります。また、正規従業員は労働規則により雇用形態が定まりますが、契約社員は雇用主と従業員とが個別に契約を締結して雇用内容を定めることができます。具体的には、労働時間についてや、賞与についてなど個別に定めることができるということです。専門的業務やデザイナーなどの特定の職種に従事する者が事業運営上必要なときに用いることが多い契約類型です。

たとえば、会社の広告を作成する際に、外注ではなく自社で制作したいが、広告デザイナー等が社内にいない場合に、デザイナーを一定期間定めて雇い入れて広告を作成したいといった場合が考えられます。この場合デザイナーを正規従業員として終身雇用することも今後の広告作成を見込めば考えられなくはないですが、デザイナー側がそれを望まない場合もありますし、そもそも1回限りといった場合もありますよね。そこで、契約社員として雇い入れることにより広告作成という目的を達成しつつ、期間経過後は契約を更新することなく打ち切ることができるのです。

もちろん、特定の職種に従事する専門的業務を内容としなくても、一時的に事務作業が溜まったという場合や営業マンが足りないといった場合にも用いることができます。

パート、アルバイト

パートとは、正規従業員よりも短い労働時間で雇われる労働者のことをいいます。類型的にアルバイトもここに含まれますが、あえてパートとの差を付けるならば、パートは週5日6時間程度の勤務が多くシフトも一定程度定まっていることが多いのに対して、アルバイトは自由に労働時間を決めることができるという点でしょうか。ただし、法律上の名称による違いはないといってよいでしょう。このパートとアルバイトという名称の違いには会社側が独自に定義しています。上記のような違いの他、学生・フリーターはアルバイト、主婦はパートといった分け方もあれば、アルバイトは比較的短期の労働形態、パートは比較的長期の労働形態といった分け方もあったりします。どの場合であっても結局はどのような契約内容にしたかが重要です。

では、契約社員との違いはというと、契約時間の違いです。契約社員は労働期間の定めのみが正規従業員と異なりますが、パートはこれに加えて労働時間も異なるということです。また、賃金に関しても時給計算であることがほとんどですから、契約社員と比べて低コストに抑えることができるといえます。

以上の特徴から、たとえば、飲食店などの従業員でパートを雇うことが考えられます。実際、飲食店の従業員はそのほとんどがアルバイト従業員であるといった場合もあるでしょう。飲食店を運営するに当たっては、その従業員が終身雇用者である必要がほとんどないということでしょう。そのうえ、コストも低額で押さえたいといったことから、このような雇用形態が多くなるのです。

派遣

上記の契約社員やパートとはやや異なった雇用形態といえるのが、派遣従業員です。あなたが派遣従業員を欲した場合、派遣元の会社と従業員を派遣する旨の契約を締結することにより、派遣されてきた従業員に対して指揮命令することができるということになります。ただし、派遣従業員はあくまで派遣元の従業員であって、派遣先の従業員ではありません。

派遣先の会社としては、派遣元の会社にいつなんどきにどれくらいの期間何人の派遣従業員が必要か依頼することになります。

また、雇用契約が従業員と派遣先の会社との間にない分、派遣先が従業員の変更を要求すれば派遣元は従業員を変更するのことになり、派遣従業員の雇用の安定性はあまりありません。

具体的には、イベントなどで人手が必要なので、安定して人員が必要だが、常時必要なわけではないという場合に派遣契約が用いられることが多いです。また、一定の技能を必要とする職種について、その技能習得に向けた教育などを派遣元に任せることが出来る点で派遣先の会社にはメリットがあります。

賃金に関しては日当の場合や時給計算されるのが通常ですが、パート・アルバイトに比べて賃金はやや高額である場合が多いのではないでしょうか。

おわりに

どのような場合に各雇用形態を選べば良いかという点をみてきましたが、共通のデメリットがあります。メリットの裏返しに過ぎないのですが、従業員の定着と確実な人材確保という点です。

とはいえ、学生アルバイターやフリーター、パートタイマーは市場に多くいるといえますので、極端な人材確保の難しさがあるというわけではありませんし、逆をいえばパート・アルバイトなどで雇用していたがとても良い人材だと思えば正規雇用のオファーを出すこともできます。

契約社員、パート、派遣以外にも非正規従業員は多くの類型がありますが、雇用形態の多くはこの3つの形態が多いでしょう。

実際に必要とする従業員を見極めた上で、どの雇用形態が適切か判断できる一助になればと思います。

なお、国会の動向次第ですが、2015年9月には改正労働者派遣法の施行も予定されています。労働期間規制の見直しのほか、いままで許可制でなかったITベンダーなどの派遣事業が許可制になるなどといった点がクローズアップされているところです。

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