子どもが生まれたら育児休業を!
- 2015/12/8
- 労働問題
男性も適用対象。育児休業とは?
子どもは欲しいが仕事もあるし、育児に充てる時間がない・・・。
このような悩みを抱く夫婦はかなり多いのではないでしょうか。日本にも、取得率はものすごく低いですが、育児休業が法律上定められています。この育児休業、実は、出産したお母さんはもちろん、お父さんも取ることができます。さらにいえば、養子の場合や、子どもを世話する家族と同居している場合であっても取得可能なのです。法律上は。
この育児休業とは、会社従業員が会社に申し出ることにより、子が1歳に達するまでの間、休業を取ることができるといった制度で、育児介護休業法に定められています。条件さえ満たせば誰でも取ることができるのです。
会社が独自に定める育児休「暇」というものがある会社もありますが、これは会社が定めていなければとることができません。一方、会社がたとえ育児休暇に関する規則を定めていなくても、法律上認められているのが育児休「業」というものになります。
世の中では「イクメン」などという言葉があるように、お父さんの育児がクローズアップされてきているようにも思いますが、育児休業を取得している男性は3%程度と言われています。育児休業制度が積極的に利用されているスウェーデンでは男性の育児休業取得率が80%を超えているのですから、日本がいかに取得していないかをお分かりいただけるかと思います。
突然80%を超える育児休業取得はお国柄的にもしばらくはなさそうですが、少しでも育児休業を男性が取得する土壌を形成していくべきであるとはいえるでしょう。もちろん、立法制度の不備ともいえるような面があることは何より数字が物語っています。とはいえ、制度自体を知らないという人や、使い方を知らない人、使いたいけど使える気がしないという人など、使う側に改善できそうな点はいくつかあります。
まずは、育児休業制度というものを知りましょう。一番の問題は、会社の空気的に、使える気がしないことではないかと思います。しかし、法律に定められているくらいですから、育児休業を会社側が拒否する権利はありませんし、これを理由に解雇すれば不当解雇になります。それでも取得できない理由としては、自分が休むと会社に迷惑がかかる、会社が回らなくなるといった場合や、周りの空気が・・・といった場合がもっとも多いでしょうか。
その他に取得されない理由としては、金銭的面もあるでしょう。この点については後述したいと思います。
育児休業制度を知ろう
まずは、育児休業制度を取るための条件ですが、原則として1歳未満の子を養育する男女労働者であることとされています。
期間の定めのある労働者である場合は、これに加えて、当該事業主に引き続き雇用された期間が1年以上であること、その養育する子が1歳に達する日を超えて引き続き雇用されることが見込まれることが条件となります。また、別段労使協定が定められている場合は育児休業が取得できない場合があります。
また、休暇を取得する1ヶ月前に会社に申し出なければならないとされています。さらに、夫婦で同時に取ることも認められており、この場合は1歳2ヶ月に達成するまで延長されます。
この休業期間が1年6ヶ月に延長される場合もあります。待機児童問題などがいわれる今日ですから、保育園などに入所したくてもできないといった場合には、6ヶ月延長することができるというわけです。また、子の養育を行っている1歳以降子を養育する予定であった配偶者が、死亡・怪我・病気等の事情により、子を養育することが困難な場合にも6ヶ月の延長が認められるます。この6ヶ月延長については子が1歳になる2週間前までに申し出る必要があります。
なお、取得期間を一度定めて一定期間のみ休業をとるというのが日本の育児休業制度となっています。分割することは会社が任意で認めてくれない限りできません。さらに、申請できる回数も1回までとされています。ただし、産休期間(産後8週間)に休業していた場合には再度の取得が認められています。
休業期間中の給料は?育児休業給付金って?
育児休業と切っても切り離せないのはお金の話です。いくら育児に時間がかけられるようになるといっても、給料が得られなければ育児にまわすお金がないということになりかねません。
育児休業は有給休暇ではないですから、会社には給料を支払う義務がなくなります。
は?それ意味ないじゃん、生活に困る!と思うのは当然です。それでは本当に育児休業を取得する人はいなくなってしまうと思います。
そこであるのが育児休業給付金です。休業開始から180日間は賃金の67%が給付されます(ただし、上限として月額286,023円、下限として46,431円と定められています。)。181日目以降も賃金の50%が給付されます(上限月額213,450円、下限34,650円)。さらにこの間は健康保険料は免除されますし、申請すれば社会保険料も免除されます。
とはいえ、育児休業給付金は誰もがもらえるわけではありません。まず、育児休業中も休業前の賃金の80%以上の給料が支払われている場合は、支給されません(そんな会社はなかなかないでしょうが・・・)。
また、雇用保険の一般被保険者であって、休業開始前の2年間に賃金支払基礎日数11日以上ある月が12ヶ月以上ある人でなければならないとされています。これらの条件を満たせば、育児休業給付金を得ながら育児休業を取ることができるというわけです。
多くの方は、これくらいの条件は満たしていることが多いです。
育児休業給付金は、会社が負担するお金ではないので、遠慮なく申請するようにしましょう。
日本は、意外とこういう福祉政策は充実しているという見方もあり、まずはこう言った制度を活用していくことを心がけたいところです。
え?会社が育児休業とらせてくれない?クビって言われた?
そんな時は真っ先に弁護士に相談しましょう。相談無料の弁護士も、今はたくさんいます。
権利があっても、その権利を使うことを諦めたらそこで試合終了ですよ。