え!?残業代ってホントはそんなにもらえるの?
- 2015/8/8
- 労働問題
あなたも可能性大!残業代という資産がある?
最近、残業代請求という言葉を聞くことが増えた気がします。残業代というのは、決められた就業時間外の労働賃金のことであり、日本の企業文化では残業が当然のことのようになっているケースも多いようです。最近は、大企業などは残業の規制も厳しくなってきているようですが、いまだに過労死などの問題も世間を賑わせており、まだまだ日本の残業文化は残っていきそうですね。
残業代は労働賃金ですので、行使しないままでいると2年で時効となり消滅していまいます。逆にいえば、過去2年分の残業代については今すぐ請求できる可能性があるということです。
残業代は時間外労働の対価としての割増賃金であり、最低でも基本賃金の1.25倍基準で計算されることになります。
しかも、その性質上細く未払い残業代を請求していることは少ないので、2年分の残業代というと、思ったより高額になっていることがあります。
たとえば、基本的に時間外労働は月45時間、年360時間を超えてはならないこととされていますので、例えば月額40万円(月22日規定労働日)の人が年360時間の残業をしていた場合に、退職時に2年分の残業代を請求したというケースを考えてみても、軽く200万円以上の残業代が請求できることになります。
これに、深夜労働や早朝労働、更に上記基準以上の残業などがあるとすれば、1.25倍よりも高い基準が適用されることになりますので、それ以上の残業代を請求できることになります。残業代を未払いにするような会社は年間360時間以上残業させてはならないという制限を守っていない可能性の方が高そうですので、実際には上記金額よりも更に多くの残業代を請求できる可能性もあるのです。
サービス残業?そんなもの無いよ!
うちはサービス残業だから、とか、自分は残業代もらおうと思ってなかったから、とか、残業になっているのは自分の仕事能率が悪いせいだから、などといって残業代を請求することをためらっている方もいるかもしれません。
しかし、法律上、サービス残業などというものはありません。残業していれば、それがいかなる理由であっても使用者は労働者に対して残業代を支払わないといけません。それも割増でです。
残業代を請求することは、100%労働者の正当な権利です。
しかし、権利も、行使しなければ絵に描いた餅です。しかも、その餅は2年間しか現実化できないのです。
固定残業制でも年俸制でも歩合制でも、残業代あり!
サービス残業に続いて、残業代請求をためらわせる原因が、会社が固定残業制を採用していたり、年俸制を採っていたり、歩合制を採っている場合です。
これらの場合には、残業代は請求できないものと思い込んでしまう方も多いのですが、いずれの場合にも全く問題なく残業代請求をすることができます。
また、医師などの専門家、運転手や美容師や塾講師などの特殊な勤務形態についても残業代が発生しないように思われる方がいますが、このような場合でも残業代は発生します。
さらに、管理職であっても、それが実態を伴っていない名ばかり管理職の場合には、残業代を請求できます。
なお、アルバイトも労働者ですので、残業代はもちろんあります。
残業代欲しいけど、何から始めれば?弁護士に相談!
残業代を請求したいけど、何から始めればいいのか分からない、という方は、すぐに弁護士に相談されることをお勧めします。
こうしている間にも、あなたの残業代請求権は2年前のものから1日ずつ時効にかかっていっています。また、請求する場合に必要な資料の説明なども、インターネットで探すよりも分かりやすく具体的事情に則したアドバイスがもらえると思います。
残業代の請求方法は、任意の交渉、労働審判、裁判など色々ありますが、まずは任意交渉から始めるのが筋です。依頼した弁護士と相談しながら出来る限りの証拠を揃えて、任意交渉で解決できればそれが最も手間も時間も費用もかからずに済みます。
また、裁判では十分な立証資料といえないような資料であっても、交渉や労働審判の際に役立つこともあります。たとえば、自分で書いていた日記なども1つの有力な資料となりえるのです。タイムカードがないと残業代を請求できないわけではありません。
最近は残業代について相談無料の法律事務所も増えてきました。簡単に諦めずに弁護士に相談してみると良いでしょう。
倍プッシュだ!付加金という強烈な制裁。
一般にあまり知られてはいないのですが、残業代を支払わないということに対して「付加金」という制裁があり、おとなしめの名前からは想像もできない強烈な効果を持っています。
簡単にいうと、裁判官が、未払残業代と同じ金額を会社から労働者に支払わせることができるというものです。労働者側からすれば、残業代が2倍になるのと同じ効果です。
そもそも残業代を払っていない会社のキャッシュフローに余裕があることは少なく、ただ残業代を払うことにさえ苦労しそうなのに、そこに更に付加金の制裁とあっては、会社にとっては致命的なダメージになりかねません。こういったことも加味してか、裁判所も積極的に付加金を付しているという状況とは言いがたいと思いますし、付加金を付す場合でも単純に2倍ではなく2倍までの範囲で一定限度の金額としていることが多いようです。
しかし、法律があえてこのような規制をしているのは、やはり残業というものは基本的には行わせるべきではなく、基本的に1日8時間週40時間の労働を超えては労働させてはならないという強い意思の現れですし、「付加金が課されるかもしれない」というリスクが残業代を支払わせるインセンティブになりますので、これはとても良い制度だと思います。