高そう・・・刑事弁護人の報酬は結局いくら?
- 2015/8/8
- 刑事弁護
逮捕・勾留されたら必須!弁護人選任。
逮捕・勾留されてしまった場合には、弁護士(刑事弁護人)を依頼しなければ望まぬ結果を招いてしまう可能性があります。
極端な話、弁護人が付いていれば、実刑(刑務所に行くこと)にならずに済んだとか、不起訴になったというケースもありえるのです。
そういう意味では、逮捕・勾留されたら弁護人を選任することは必須といってもいいでしょう。
しかし、無料で、というわけには行きません(国選弁護の場合には実質的に無料でということがありえます。)。当然ですが、弁護人を依頼するには報酬を支払う必要があります。
では、弁護人報酬はいくら?
ちょっと複雑な報酬体系。
刑事弁護人の報酬は、民事の着手金・報酬という報酬体系に比べるとやや複雑といえるかもしれません。
その原因は、刑事手続が「被疑者弁護」と「被告人弁護」に分かれていること、弁護人の責務として「より有利な刑事責任の確定」と「身体拘束の早期解放」という2つがあること、接見などによる拘束時間が逮捕勾留されている場所や事件の性質によって大きく異ること、自白事件か否かや裁判員事件か否かで弁護人の負担が大きく異ること、などが上げられます。
刑事事件の報酬相場を一般化はできませんが、一般的にいうと、
・ 着手金
・ 追加着手金(公判請求されたとき等)
・ 報酬
・ 特別報酬(早期釈放されたとき等)
によって定められていることが多いでしょう。また、接見の時間などに応じてタイムチャージ(1時間いくらという報酬)を設定している法律事務所もあるようです。
事前に確認!おおよそいくら?
刑事手続が頭に入っている人にとっては、上記のような弁護士費用の設定は割と合理的と思えるのですが、素人的には、結局いくらかかるのか分かりませんということになりかねません。
ですので、弁護人に依頼する前の相談時に、必ず「トータルでいくらになるのか」を聞いておきましょう。
もちろん成果報酬的なものもありますので、トータルで絶対いくら、と言い切れないケースもあるでしょうが、こういう場合はこれくらい、といった程度の説明は必ずできるはずです。
契約なのですから、中身を出来る限りしっかりと理解して契約すべきですし、そのために質問することを躊躇する必要はありません。
なお、あくまで一般的な感覚ですが、刑事弁護人の報酬については、被疑者段階で事件が終わる場合には60万円前後、公判(裁判)まで行くような場合には80万円前後となり、これらに身体拘束の早期解放報酬が加算されることが多いのではないでしょうか。なお、身体拘束の早期解放の手続を取るために別途追加着手金を取る弁護士もいるようですので、一番始めに支払う着手金でどこまでの活動をやってくれるのかは十分に確認しておくべきでしょう。
国選弁護なら無料?
被疑者に一定の資産がない場合には、国選弁護人が選任できる場合があります。
ただし、被疑者国選弁護人を選任できるのは勾留されてからになります。また、対象事件も限定されており、たとえば痴漢や盗撮といった迷惑防止条例違反の場合には勾留されても被疑者国選弁護人を選任することはできません。
なお、国選弁護だからといって直ちに無料になるというわけではありません。有罪の判決を得た場合には、原則としてその一部又は全部を被告人が負担することになります。
ちなみに、国選弁護人が受け取る報酬は、事案や弁護内容によって多少異なりますが、捜査から裁判までフルで行っても20万円前後となることが多いです。私選弁護に比べるとかなり低額で、公益活動の一貫として行われている側面が強いといえます。
よく国選弁護人は一生懸命弁護してくれないということを聞きますが、モチベーションはともかくとして、その弁護内容が国選か私選かで変わることはあってはならないことです。一部には、そのような弁護士もいるのかもしれませんが、多くは一生懸命弁護士てくれると思います。実際に、国選弁護であっても誤認逮捕を認めさせたケースや無罪判決を勝ち取ったケースもあります。