もうすぐ施行!民泊新法(住宅宿泊事業法)!

そもそも民泊って何だ?

最近、テレビや新聞などで「民泊(みんぱく)」という言葉を見聞きする機会が多くなってきました。また、住宅宿泊事業に関する法律(いわゆる民泊新法)が施行されるということもあり、民泊に関する相談を受けることも増えてきました。

民泊仲介サイト最大手Airbnbによれば、2018年3月現在日本国内には6万ほどの民泊施設があるとのことです。「民泊」といえば、個人宅やマンションの空室を外国人観光客を中心に宿泊用に有償で貸し出すイメージをお持ちの方が多いとは思います。民泊ビジネスは儲かるという声が聞こえる一方で、ニュースや報道等で違法などと報じられてネガティブな印象もあるかもしれません。

今回は、イメージが先行しがちな民泊について、その法規制の種類とそれぞれのメリット・デメリットなどについて詳しくご紹介します。

 

民泊の法規制あれこれ

現状、「民泊」を合法的に行うにあたっては大きく3つの許可のカテゴリーにわけられます。

①旅館業法の簡易宿所営業 ②国家戦略特区民泊 ③住宅宿泊事業法(民泊新法)

それぞれの規定の概要をみてみましょう。

①旅館業法の簡易宿所営業

旅館業法は1948年に施行された法律です。

旅館業法には(1)ホテル(2)旅館(3)簡易宿所(4)下宿という4つの区分があります。これまで簡易宿所といえば、ゲストハウスやカプセルホテルなどが主流でしたが、民泊を運営するにあたっては簡易宿所の営業許可を得るケースが増えています。

また、報道では住宅宿泊事業法(民泊新法)が脚光を浴びていますが、旅館業法も今年大幅な緩和が予定されており要注目です。

②国家戦略特区民泊

国家戦略特区民泊(以下、「特区民泊」という。)は国家戦略特別区域法に基づき、旅館業法の特例制度を活用した民泊のことを指します。

国家戦略特区は政府が民間の新しいビジネスをの規制を緩和する区域を定めるものであり、2018年3月現在、特区民泊での営業ができるのは、東京都大田区、大阪府の一部、大阪市、北九州市、千葉市、新潟市に限られています。

③住宅宿泊事業法(民泊新法)

本年6月15日に施行される、いわゆる民泊新法と呼ばれる法律です。

これまで宿泊施設を作ることが出来なかった住居専用地域でも一定の条件のもと「住宅」を宿泊施設として最大180日営業することができる法律です。自治体の裁量により、営業日数などの上乗せや、家主居住型か家主不在型かに応じて届出内容や営業方法が異なってきますが、住宅を宿泊施設として運用できるので注目を浴びています。

民泊やるならどの法律がベスト?

では、これから民泊を行うみなさまは上記のどの規定を利用して営業をすれば良いのでしょうか。これについては、営業を行うエリアや案件によって異なります。それぞれの規定のポイントをみていきましょう。

各規定のメリット・デメリット

①旅館業法の簡易宿所営業

理論的に言えば、最も収益性が高くなるのが旅館業法による営業になりますので、まずはこちらの検討をすることをオススメします。

最大のメリットとしては、一般的なホテルや旅館同様、営業日数の制限を受けないことが挙げられます。また、民泊仲介サイト最大手のAirbnbやBooking.comやExpediaなどのホテル予約サイトでも集客が可能になるからです。

デメリットとしては、許可を取得するハードルが高いことです。共同住宅の場合、容積率や建築確認証や検査済証の確認が必要になります。また、消防課・保健所・建築課など各部署間における確認事項が多く、既存の物件を宿泊施設として転用する場合においては、この点が障壁になるケースが多いです。

ただし、これまでの厳しい施設要件、フロントやトイレの設置義務などが法改正により大幅に緩和される予定です。今後は旅館業法下で民泊営業を行うチャンスは増えてくると想定されます。要件は自治体により異なるため、まずは行政に確認いただくことをオススメします。

②国家戦略特区民泊

東京都大田区や大阪市などエリアによっては、最もオススメできる運用形態になります。

上記旅館業の営業許可は取得までのハードルが高いことに比べ、特区民泊はそもそも住宅を宿泊施設として運用できるようにするための規定なので、取得までのハードルが低くなっております。また、各自治体でも取り扱い件数が増えており、特区に認定されている行政は比較的協力的なケースが多いため許可取得まではスムーズに進むケースが多いです。

デメリットとしては、国家戦略特区として認定されている自治体が東京都大田区、大阪府の一部、大阪市、北九州市、千葉市、新潟市(2018年3月現在)と限られていることがあります。また、最短宿泊日数が東京大田区では6泊7日、それ以外の自治体でも2泊3日と制限されていることにより集客が難しいことが挙げられます。

③住宅宿泊事業法

住宅宿泊事業法においては、「住宅」をそのまま宿泊施設として運用できることが最大の特徴です。

消防設備の基準を満たす必要があるものの、エリアによる制限が少ないことから賃貸マンションや別荘などの遊休資産のRe活用し収益を得られることはみなさまにとってもメリットが大きいと考えております。

デメリットとしては、営業日数が最大180日に限られることです。また、各自治体においても営業日数などの上乗せ条例が設定できるため、都心部などを中心に物件によっては民泊だけでは賃貸以上の収益を高めていくことは難しいケースが想定されます。

その場合においては、マンスリーマンションなどとしてハイブリッドに運用することによりこれまでの賃料を上回るチャンスは増えていきますので、管理会社などとご相談いただくことがベターです。

 

民泊新法でこう変わる!

「民泊」というと最近までは違法なものが横行しているというイメージがありましたが、現行の法制度のもとでも合法的に民泊営業を行うことは可能であり、そのような民泊営業を行う事業者が増えているように思います。

それでも、住宅宿泊事業(民泊)法が施行された後には、正面から「住宅」を宿泊施設として合法的に営業できることになり、その意味で民泊新法が施行される今年は民泊業界にとって大きな変革であるといえます。

これまで民泊の事業主は個人オーナーの方が多い印象がありましたが、住宅宿泊事業法(民泊新法)の施行により、大手不動産会社を中心に法人オーナーがコンプライアンスを遵守したうえでマーケットに参入してくることが想定されます。また、民泊合法化の動きを察知して民泊事業に乗り出す中小企業も増えてきている印象です。

訪日外国人観光客の増加とともに都市部の宿泊施設不足のトレンドは続いております。

また、世界的にみても民泊施設の利用率は増加しており、大阪市においては2017年の訪日外国人観光客の15%が民泊施設へ滞在したとのことです。国内においては、ファミリーやグループなどで宿泊できる多人数部屋の供給はまだまだ不足しており、今後もしばらくの間は多人数で宿泊できる民泊の需要は増えてくるのではないでしょうか。

 

Airbnbが法律を変えた?

民泊という概念を世に広めたという意味で、Airbnbが果たした役割はとても大きいと思います。

Airbnbが広まり始めたころ、法律問題ついて考察した記事はこちらをご覧ください。

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