消費者被害って何!?

日常のお買い物などでも起こりうる、消費者被害とは?

消費生活センターに苦情殺到!○○会社の商品には問題あり!

このようなニュースを見かけたことがあるかと思います。消費生活センターに相談・苦情等が寄せられるような問題については、一般に消費者問題と呼ばれたりするのです。

なぜ生じる消費者被害

契約する当事者間は対等であることを前提に民法などの法律は形成されています。しかし、企業相手に一人間が契約を締結しようとすれば一人間側は情報や交渉力等の面で必ずしも対等な立場でいられるわけではありません。

たとえば、スーパーで売られている物について消費者は値切ることはまずないですし、そもそもその価格が適当なのかを知ることも簡単ではありません。もちろん、消費者がスーパーで値段を決められないことが消費者被害になるわけではありませんが、このような立場・関係性を殊更利用して契約を締結し、その結果被害が生じるような問題のことを消費者被害・問題と呼ぶのです。しかし、これで消費者被害・問題を全て説明できたわけではありません。

消費者について小難しく説明しようと試みて、「生活のために用いる物資やサービスを他人から購入する者のことであって、生産者、販売者などの供給者に対立する概念」としたりもしますが、この概念でも消費者全てをカバーできているわけではないのです。

まあ要するにある程度カテゴライズできるくらい多くの被害者が発生しうる損害が同一原因から生じた場合には消費者被害と呼んでいいのではないかと思います。

消費者被害の具体例

では、消費者被害・問題とは何なんだ!?ということに対する答えは具体例の積み重ねとしかいいようがないということになってきます。そもそも、消費者被害に柔軟に対応するためにはあまり厳格な枠を設けるべきでもないのです。

そこで、まず典型的といえるような具体例をみていくことにします。

偽装表示

スーパーで買ったコンビーフは「松阪牛コンビーフ」などと表示されているのにほとんど松阪牛は使用されておらずホルスタインの肉しか使われていなかったという事例。これは景表法4条1号の「品質、規格に関する誤認表示」に該当します。

集団食中毒

工場で製造された脱脂粉乳に、製造過程で黄色ブドウ球菌の出す毒素が混入したまま出荷され、その脱脂粉乳を使って同社の別工場で製造された加工牛乳などを飲食した消費者に集団食中毒が発生したという事例。民事上の不法行為責任を負うほか、食品衛生法上の規制を受けることも考えられます。

詐欺まがい

商品を購入してモニターになれば、毎月のクレジット支払額を上回るモニター料を支払うと勧誘し、クレジットを利用して商品を購入させた後に、会社が倒産しモニター料の支払いが頓挫したという事例。モニター特約付売買契約という1つの契約として無効であるとし、割賦販売法30条の4に基づき信販会社に支払を対抗することができると考えられます。

 

何が消費者被害として法律上定められているのか

法律上消費者被害の類型として違法である旨定める法律がいくつかあります。そのなかでも一般的な消費者契約法、特定商品取引法、景品表示法についてみてみます。なお、これらの消費者被害を生じさせる行為は後述の消費者団体訴訟制度の対象とされています。

消費者契約法

契約締結過程の違法事由

大きく分けて契約締結過程の違法事由と不当条項規制とがあります。

さらに、契約締結過程の違法事由としては、誤認行為と困惑行為があります。

誤認行為としては

①重要事項に関する不実告知(4条1項1号、4項)

②将来の変動が不確実な事項についての断定的判断の提供(4条1項2号)

③重要事項に関する消費者の不利益事実の不告知(4条2項、4項)

が定められています。

困惑行為としては、

①住居、就業場所からの不退去による勧誘行為(4条3項1号)

②勧誘場所からの退去を阻害する行為(4条3項2号)

が定められています。

不当条項規制

不当条項規制については、

①債務不履行・不法行為に基づく損害賠償責任や、瑕疵担保責任をまったく免除する免責条項(8条)

②解除に伴う損害賠償の予定が当該事業者に生ずべき平均的な損害額を超えるもの(9条1号)

③金銭の支払期日経過による遅延損害金の予定が年14.6%を超えるもの(9条2号、11条)

④その他、信義則に反して消費者の利益を一方的に害する条項(10条)

は無効とされます。

特定商品取引法

取引の形態により各々規制を設けています。

①訪問販売、②通信販売、③電話勧誘販売、④連鎖販売、⑤特定継続的役務提供、⑥業務提供誘引販売取引、⑦訪問購入といった取引形態に規制が及んでいます。

取引形態 商品・役務 書面交付義務 クーリング・オフ制度 勧誘行為規制 取消制度 広告規制 その他
訪問販売 商品・役務指定権利 申込書・契約書 8日間 あり あり なし 過量販売解除権
通信販売 商品・役務指定権利 なし なし(8日間の返品制度) なし なし あり
電話勧誘販売 商品・役務指定権利 申込書・契約書 8日間 あり あり なし
連鎖販売 限定なし 概要書面・契約書 20日間 あり あり あり 中途解約権
特定継続的役務提供 指定6業種※ 概要書面・契約書 8日間 あり あり あり 中途解約権
業務提供誘因販売取引 限定なし 概要書面・契約書 20日間 あり あり あり
訪問購入 限定なし(物品のみ) 申込書・契約書 8日間 あり なし なし

※指定6業種とは、期間が1ヶ月を超え金額が5万円を超えるエステティックサロン、期間が2ヶ月を超え金額が5万円を超える外国語会話教室・学習塾・家庭教師等・パソコン教室・結婚相手紹介サービスのことを指します。

景品表示法

景品類の価格の最高額若しくは総額、種類若しくは提供の方法その他景品類の提供に関する事項についての制限違反行為を禁止しています(3条)。

さらに、表示についても不当表示にあたるものは禁止しています(4条1項)。

不当表示とは、

①商品又は役務の品質、規格等に関する不当誘引表示

②商品又は役務の価格、その他の取引条件の誤認表示

③その他内閣総理大臣がしているする誤認表示

のことをいいます(4条1項各号)。

消費者被害を被った人は何を言える?

消費者被害を被ったら何ができるのかということに関しては、時代を重ねるごとに増えてきました。以前は、消費者被害を受けた被害者が集まって企業などと交渉を図ることができたとしても、訴訟提起をするにあたっては一個人で各被害を訴えるしかありませんでした。

具体的には、クーリングオフにより契約自体を解除することや、契約の無効を主張すること、損害賠償を請求すること、企業側の違法行為を差し止めることなどが起こせるアクションでした。

しかし、消費者被害は損害額が多額になるケースももちろんありますが、損害額が少額で訴訟を提起しようとしても費用倒れになりかねないといった場合や、この程度の損害であればわざわざ争うこともないというケースが多く存在します。他方で、損害額が少なかったりするなどわざわざ訴訟を提起するまではないといっても、違法行為自体の違法性は大きい場合があり、これを野放しにするのはよくないといった場合があります。

そこで、まず適格消費者団体と呼ばれる団体がこのような消費者被害について訴訟を提起できるいわゆる集団訴訟が認められるに至りました。対象となる違法行為は前述の通りです。ただし、この集団訴訟は損害賠償請求をすることはできず、違法行為の差止めのみを求めることができるとされています。

これでは、消費者被害の予防はできても、実際に被害を被った消費者の救済をすることはできません。

この問題点に対応するかたちで、近く、集団訴訟により被害を回復することができる制度が立法されています。この制度は平成28年12月までに利用できるようになります。この制度について詳しくは、日本版クラスアクション(集団訴訟)制度を知ってますか?をご覧ください。

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