どこからが不倫?不倫をされたらどうするか

不倫で刑事罰?!

今も昔も男女を問わずに“不倫”は行われています。日本においても昔は姦通罪という刑事罰があったりしました。

また、お隣韓国ではこの姦通罪が憲法に反するとした裁判所の判断が2015年2月26日に出たばかりです。ちなみに、姦通罪というと犯罪主体が女性に限られている国が多かったようですが(それどー考えてもダメだろって感じですが、これが時代の限界というやつなのでしょう。)、韓国は男女ともに犯罪主体としていました。そういう意味では男女平等なのですが、だとしても、不倫をすることが刑事罰を加えなければならないほど違法性が強いかというと、そうではないというのが国際的な流れといってよいでしょう。ただ、いまでも国によっては刑事罰に処される場合もあります。たとえばイスラム圏の国ではほとんど姦通罪が存在しており、イスラム法での最高刑は死刑だそうです。

さて、日本においては、不倫をしたからといって刑事罰に処されるようなことはありません。だからやって良いというのでないことはもちろんです。法律上も、民事上は違法な行為であるとされています。民事上違法な行為ということは、これによって精神的苦痛を被る人(配偶者)に対して慰謝料を払わないといけないということです。

このように国によっても対応が違う不倫ですが、日本において、不倫が法的にはどのように扱われているかを見ていきましょう。

何が不倫にあたるか

不倫とは、法律上「不貞な行為」(民法770条1項1号)のことを指します。具体的には、「配偶者のある者が、自由な意思に基づいて、配偶者以外の者と性的関係を結ぶこと」をいい、これは「相手方の自由な意思に基づくものであるか否かは問わない」とされています(最判昭和48.11.5民集27.10.1323)。

この性的関係が何を指すのかは争いがありますが、一般に性交渉そのものを指し、類似行為等は含まないと考えられています。したがって、風俗等に通っていても建前上は不倫にはあたらないとされることになりますが、この点についての最高裁判所の判断はありません。

ただし、不倫にあたらなくても離婚原因にあたる場合はあります。離婚は原則として一方的にはできるものではなく、民法が定める「離婚原因」が必要です。離婚原因はいろいろありますが、一番何でも当てはまりうるのが「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」(民法770条1項5号)という離婚原因です。したがって、風俗通い等が不倫にあたらないといって、配偶者の反対を押し切って続けると、「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚が認められる可能性も否定できないことには注意が必要です(そりゃそーだという感じでしょうが)。

さて、近時、不倫に関して業界内で話題となる判決が東京地裁で出されました。枕営業は不貞行為にあたらないとする裁判例です(東京地裁平成26.4.14判タ1411.312)。枕営業とは、クラブのママなどが常連客を捕まえておくために肉体関係をもつことをいいます。専門家の間でもこの枕営業が不貞行為にあたるかは判断の分かれるところではありますが、現状は不貞行為にあたらないとされる可能性があるといえます。しかし、裁判例は最高裁判所の判断と比較すれば先例性が高いとまではいえません。もっとも、枕営業を受けている分には不貞行為にはあたらないといって続けていると、風俗通い等同様「婚姻を継続し難い重大な事由」があるとして離婚原因に当たる可能性があります。

また、不倫をしたとしてもそれが本当に一度きりだったと認定された場合などには、婚姻の継続を相当と認められるとして離婚が認められない場合があります(民法770条2項)。ただし、一度きりだからといって全て離婚が認められなくなるわけではなく、「一切の事情を考慮して」判断されることになります。

不倫をしたらどうなるのか

不倫はイケナイこと、ということは皆さんご存じでしょうが、これは倫理的・道徳的にイケナイことでは済まされないのが我が国の制度です。

不倫、すなわち不貞行為は離婚原因とされており、不倫すれば離婚せざるをえなくなります。また、離婚に際して多額の慰謝料を支払わなければならなくなります。この支払義務は不倫相手にも課されることがあります。つまり、結婚していれば不倫によって離婚の可能性が高くなる上、慰謝料を支払わなければならなくなることになるのはもちろん、自分が未婚でも相手が既婚者であれば慰謝料を支払わなければならなくなるのです。

不倫をされた場合の離婚までの流れ

不倫をされたことが発覚した場合に、どのような対応を取るかはまず不倫をされた配偶者がどうしたいかによることになります。不倫をされたから離婚しなければならないわけではなく、婚姻関係を継続することも当然可能です。その場合でも、不倫相手に対しては慰謝料請求をすることができますし、離婚せずに不倫をした配偶者に対して慰謝料を請求することも一応できます。そして、当然不倫が認められれば離婚をすることもできます。

どうしたいのかまず方針を決めたら、不倫をした配偶者と交渉することになるでしょう。この交渉をする際に、離婚を求めて慰謝料を請求するのか、不倫をやめさせて慰謝料を請求するのか等、こちらの要望を伝えます。そして、相手方が離婚を受け入れた場合には協議離婚が成立します(民法763条)。

交渉がうまくまとまらず、協議離婚が成立しなかった場合は、原則として調停による離婚の成立を目指すことになります。調停とは、簡単に言えば、調停委員会が中立的立場に立って当事者同士による話し合いによって離婚を成立させることです。調停が成立して離婚する場合には、調停離婚(家事事件手続法268条1項)が成立します。これも成立しないような場合には、審判による離婚も考えられますが(家事事件手続法284条1項、287条)、多くの場合は裁判による離婚を目指すことになります(審判離婚というのは、異議がでると結局裁判に移行することになっているため、それなら最初から裁判するわというわけです。)。

裁判手続は、これまでの話し合いによる解決を図るのではなく、法律的な争点について互いに主張をしたうえで、裁判所が判決によって争いに決着を図ります。これによって離婚が成立すれば裁判離婚が認められます(民法770条1項)。不倫が認められない等により離婚原因があるとまでいえないと判断されれば、離婚の請求は棄却されることになります。

不倫の証拠

不倫があったとしてその証拠を示す時、よく想像されるのは探偵会社や調査会社が作成した報告書に記載されているラブホテルに同伴して出入りする写真があると思います。現実にもこのような証拠が裁判等で用いられることはありますが、多くの場合は携帯やスマートフォンに残っているメールやLINE等のメッセージアプリの履歴等が多いです。携帯やスマートフォンに残っているものでいえば、性交渉を直接撮影した写真や動画といったものも証拠となるケースもあります。

さらに、不倫についての交渉においてはその会話内容が録音されていることが多いです。そこで不倫を認めるような会話をしている場合には、これが証拠となることもあります。この交渉等における対応はとっさになされた場合などには認めてしまったり、不倫があったことを前提で話が進んだりするので、両者ともに慎重な対応が必要にります。

このほかにも、直接的な証拠ではなく、より間接的な証拠を積み上げることにより不倫を立証することがあります。たとえば、直接的には肉体関係を示唆していないが明らかに男女関係を窺わせるメールなどのやりとり、家に不倫相手の所有物などが残されていた、妻や夫とは行っていないラブホテルの会員証がある、着信履歴に不倫相手との発着信が異常に多く残っている、妻や夫とは行っていない旅行の履歴がインターネットなどに残っている、FacebookなどのGPS機能により妻や夫に伝えている位置と明らかに異なる位置にいる、コンドームが鞄や財布に入っている、不倫の事実を示す日記やSNSの記事がある、などといったことがこれにあたるでしょう。

さいごに

法律論が多くなりましたが、簡単にまとめますと、

不倫とは性交渉そのものを指し、不倫したと認められれば離婚しなければならないうえ、不倫相手ともども慰謝料を支払わなければなない

ということです。ちなみに、不貞行為の慰謝料相場は50~300万円くらいです。

あれこれと例外的なケースはありますが、多くの場合の不倫による離婚事件はこれにつきます。その上で、慰謝料はいくらか、財産分与はどのようになされるか、養育権はどちらが持つかなどが争われることになります。

何より、こういった法律的な制裁よりも知人や友人、会社からの目など、社会的制裁もかなり痛いのではないでしょうか。

当たり前ですが、不倫はしないのが一番です。

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