主債務者が破産!保証人のあなたはどうなる?!

主債務者が破産しても保証人は免責されない!

親戚や友人の借金について保証人になっていたが、その人が自己破産した場合、自分はどうなるのか。

借金をする場合や車・家を買う場合に保証人を付けることがあります。また、家を借りる場合にも保証人が求められることが多いかと思います。この場合、借金等をした人を主債務者、お金を貸した人を債権者と呼びます。

では、保証人がいる場合に債務者が破産して免責されたら保証人はどうなるのでしょうか。結論としては、それだけで保証人が免責されることはありません。

保証をする際に保証人が保証契約を締結する相手は、主債務者ではなく債権者です。つまり、主債務者の債務を保証しますよと債権者と約束するのが保証契約になります。したがって、保証人は債権者に対して主債務者がした借金を返済していかなければならないことになります。

通常であれば、保証人が債権者からお金を返せと言われてもまずは主債務者に言ってくれと言い返す権利があります。これを法律上催告の抗弁(民法452条本文)といいます(もっとも、普通は連帯保証といってこの抗弁のない保証契約であることが多いのですが。)。しかし、この抗弁のある保証契約であっても、債務者が破産した場合にはこの催告の抗弁を主張することができません(同ただし書)。

主債務者が免責されたのであればそもそも借金したことがなくなるから保証人も返さなくていいんじゃないか、とも考えられますがこの反論は認められないことになります。確かに、保証契約は本契約(例えば借金についての消費貸借契約)にくっついているようなものなので、破産により本契約が免責されれば保証契約も免責されそうだという感覚も理解できます。

しかし、破産による免責は法律上債権が消滅するのではなく、債権者から債務者に請求ができなくなるにすぎないのです。したがって、債権者は債務者に請求ができなくなるだけであって、いまだ存続している債権について保証人に対して請求することができるという理屈です。

そもそも、債権者側からみれば、保証人っていうのは、まさに破産などで主債務者からの回収ができない場合にこそ真価を発揮するわけですから、主債務者が破産しても保証人が免責されるわけではないというのは、当然のことといえます。

債務を弁済しても破産した主債務者からは取り戻せない!

どうして取り戻せない!?

主債務者の破産免責により保証人が債権者に弁済しなければならなくなったとしても、本来借金をしたのは保証人ではありません。手元に借りたお金があるわけでもなければ、買った家や車があるわけではないのです。したがって、保証人は主債務者に代わって債権者に弁済すれば、主債務者に対してお金を返せといえるのが通常で、これを求償権といいます。

しかし、主債務者が破産している場合、この求償権も破産免責されてしまっているのです。すでに免責されていたり、破産手続開始申立て後に同時廃止になるような場合であれば保証人は主債務者から回収を図ることはできません。もし、主債務者の破産手続が管財事件で現在進行形で進んでいる場合、確かにその破産手続に参加できる場合もあります。しかし、個人破産が管財事件に移行することはほとんどないうえ、仮に管財事件であったとしても保証人の立場は苦しいものです。簡単にですが見てみましょう。

保証人の破産手続上の立場

主債務者が破産した場合の保証人の立場は基本的には債権者の動向次第ということになります。債権者が破産手続に参加する場合、その債権額は破産手続開始時に現存するものに限られます(手続開始時現存額主義、破産法104条1項)。したがって、破産手続開始前に保証人が弁済した分については破産債権者として破産手続に参加することができます。また、債権者が破産手続に参加しない場合に限って将来行うことがある求償権について破産手続に参加することができます(破産法104条3項)。
一方、破産手続開始後に保証人が債権者に弁済してもそれが全額に至らない限りその分については破産手続に参加することができません(破産法104条4項)。
なお、保証の形態が物上保証であっても同様の規律が及びます(破産法104条5項)。

このように、保証人が破産手続に参加することができる場合は、手続開始前に弁済した場合、債権者が破産手続に参加しない場合、手続開始後であれば全額弁済した場合、という限られた場合になります。そして、参加したとしても保証人が全て回収できるようなことはほとんどないといっていいでしょう。管財事件と言っても経済状況が苦しいことには変わらないのですから払えるような財産がほとんどないからです(だから破産しているわけです。)。

弁済できないなら、保証人も債務整理するしかない。

主債務者が破産してしまえば、ほぼ必ずと言っていいほど保証人は損をします。これまでみてきたように、保証した債務を支払わなければいけないうえ、支払った分も回収することが困難だからです。
この損するであろう分については誰もフォローしてくれません。したがって、保証人にこれを支払う資産がなければ保証人も支払不能状態になるので何らかの債務整理の手続をとるしかありません。実際にとるべき債務整理の方法としてが何が適切なのかは、保証人の資産状況等によります。

結局、保証人になどならないのが一番・・・

保証人は保証料を主債務者から受け取っているような場合を除いて、何ら利益を受けることなく上記のような損を被ることがほとんどです。保証人になることによるメリットは皆無といえるでしょう。
主債務者が借金等をするのにどうしても保証が必要な場合はあるでしょう。しかし頼まれた場合には、断るのが賢明といえます。

借金や家を借りる場合に保証が必要な場合、機関保証というものが利用できる場合がありますので、できる限りこちらによるようお願いすべきでしょう。

やむを得ず保証人になる場合には、その不利益(債務全額を自分が支払うことになるリスク)を十分に理解し、覚悟を決めてなりましょう。

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