解雇と言われたら押さえておきたい4つのポイント

ポイント1-そもそも解雇って何?

勤めている会社から「クビだ」と言われて会社から追われてしまった。「明日からは来なくていい」といわれて退職することになった。

このような、使用者による労働契約の解約等を解雇といいます。直接「クビだ」「解雇だ」と言われていなくても、「会社辞めたら?」「会社に君の居場所はないよ」等、退職勧告と言われるような内容であっても、実質的な解雇と評価される場合もあります。

解雇には、3つの類型があるといわれていいます。通常解雇、懲戒解雇、整理解雇です。

通常解雇とは、労働者の労働能力や適格性の低下・喪失を理由とする解雇です。

懲戒解雇とは、労働者の義務違反や規律違反行為を理由とする解雇です。

整理解雇とは、経営上の理由による解雇です。

しかし、使用者が労働者を解雇するに当たっては法的に厳しい制限があり、いずれの解雇の場合であっても簡単に解雇することはできません。どれくらい厳しい制限があるかというと、乱暴な言い方ですが、正社員の通常解雇であればまず無効であるといえるくらい厳しい制限です。もちろん、整理解雇や懲戒解雇も相当厳しく制限されています。

また、非正社員を解雇する場合も無制限に自由にできるわけではなく、相当程度の制限があります。

ポイント2-解雇する使用者は諸々の覚悟が必要。

もし、解雇を通知して、労働者が解雇の有効性を争ってきたような場合には、使用者としてはまず勝てないことを覚悟する必要があります(もちろん事案によっては楽勝のケースもあるのですが、かなり稀です。)。

また、解雇を通知すると、解雇が無効だという反論だけでなく、解雇通知が残業代請求の呼び水となって、違法な解雇を理由とする損害賠償と未払残業代の請求というカウンターを食らう可能性もあります。

逆を言えば、労働者からしれみれば、「こんな会社辞めてやる!」と思うと同時に、「どうせやめるなら正当な権利行使は全部やる!」という心境になりやすいといえます。もちろん、「会社辞めたくない!それに、これまでの未払残業代も全部請求する!」というパターンもあります。

いずれにしても、解雇は使用者にとって茨の道といえるでしょう。

逆に主導権を取ることができるのが労働者側です。労働者側としては、解雇の有効性を争いつつ、あくまで職場復帰を求めるのか、賠償金の支払いを求めるのかなどの選択肢を有しています。なお、本心としては賠償金の支払いを求めたい場合でも、戦略的に職場復帰を求めるケースもあります。

ポイント3-違法な解雇の損害賠償はいくら?

違法な解雇により認められる直接の慰謝料は、50万円~100万円となっていることが多いようです。

ただし、解雇とされた以降に未払いになっていた賃金なども同時に請求が立てられ認定されていることも多いので、解雇が違法無効となった場合には、使用者としてはその間の労働力の提供がないにも関わらず賃金を支払わなければならないほか、上記慰謝料も併せて支払わなければならないことになります。

労働審判制度の活用により、労働問題の解決までの時間は確実に短くなりましたが、それでも解決までに半年以上の期間が経過していることが多いことからすると、解決時に使用者が支払わなくてはならない金額は数百万円に上ることもよく有ります。

ポイント4-解雇といわれた!さあどうする?

解雇といわれてしまったら、まず、使用者に解雇理由を書面で交付するように求めましょう。これは労働基準法22条で労働者に認められた権利であり、解雇理由を使用者側が明らかにすることで労働者としてはどこを争えばいいのか明確になるメリットがあります。

また、多くの書類による証拠は会社側に保管されていることがほとんどです。そこで、会社から提出された書類を中心に可能な限りお手元に保管して下さい。上記の解雇理由証明書や解雇通知書、離職票、給与明細、採用通知書、労働時間管理表、会社の就業規則などの書類が証拠として活用されます。

なお、離職票の離職理由欄が自己都合退職か解雇かで失業手当の取り扱いが異なるので確認の上ご注意ください。

また、失業給付を受け取ることもできますが、この給付を受けたことによって解雇を認めたとの主張が使用者側からされる可能性もあることから、念のため仮給付というかたちで失業手当を受けることになるでしょう。これはいったん給付を受けつつ、不当解雇と認められた場合にはこれを返還するものです。

ただ、いずれの行動を取るにせよ、まずは労働者側の労働問題を扱っている弁護士に相談にいってみるのがいいように思います。最終的に依頼するにしろしないにしろ、具体的な事情に即してアドバイスをもらってから動くほうが賢明といえるでしょう。

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