前科を付けたくない!刑事事件の示談金相場は?

示談できれば早期釈放の可能性up!

逮捕勾留されてしまった場合でも、被害者と示談をすることができれば釈放される可能性が高くなります。

ということは、早期に示談を成立させればさせるほど効果が高い(同じ示談でも早い段階で示談できた方が早い釈放が望める)ことになります。

ですので、逮捕された方やそのご家族などが弁護士に依頼して被害者との示談を頼むケースは多くあります。

では、示談金に相場はあるのでしょうか?示談は、あくまで被害者との合意に基づくものですので、そういう意味では相場は無いといってもいいかもしれません。ただ、示談には被害者側にとってのメリットもあり、そういう意味では合意を形成しやすい金額というのはあり、そういう意味では相場はあるといえるでしょう。

被害者にもメリットがある?示談の効果。

被害者にとっての示談のメリットは、確実な金銭回収ができるという点です。刑事事件の示談の場合、通常は一括で現金を用意して被害者に交付すると同時に示談書を取り交わすケースが多いので、被害者は確実に示談金を受け取ることができます。これが、示談をせずに刑事事件が終わってしまうと、その後の任意の交渉や民事裁判などを起こして損害(治療費や慰謝料等)を回復する必要があります。

これはこれで一つの手間であり、そのために弁護士を依頼するとなれば弁護士費用も必要になりますので、時間と手間と費用のことを考えると、ある程度の金額で示談をしておくという選択肢も被害者にとって合理的な選択肢ともいえるのです。

では、具体的な示談金額はどれくらいになるのでしょうか?

まず、本筋として参考にすべきなのは、犯した犯罪の民事の慰謝料についての裁判例ですが、これは一般市民感情からいうと「安い」と思われる方が多いかもしれません。他方で、示談金を支払うべき立場の被疑者側からすると、法定刑に罰金刑があり、示談ができない場合には罰金刑が課される可能性がある場合には、この罰金を支払うくらいであれば被害者に示談金を支払って不起訴を狙いたいという考え方もあります。そこで、罰金刑が見込まれるような事案の場合には、法定刑も一つの要因になってきます。

具体的な金額は、犯した犯罪の内容や具体的な事情によって変わってきますので、ここではよく問題になる犯罪である「痴漢・盗撮」と「暴行・傷害」の2つについて見ていきましょう。

示談金の相場(痴漢・盗撮 編)

衣服の上からの痴漢行為や盗撮行為について罰則を定めるのは各地方公共団体の「迷惑防止条例」であり、たとえば東京の同条例では衣服の上からの痴漢行為や盗撮行為については50万円以下の罰金に処すると定められています。また、こういった行為についての民事裁判例は数が少なく、民事裁判例上の慰謝料相場は必ずしも定かではありません。ただし、「慰謝料算定の実務 第2版 千葉県弁護士会編 ぎょうせい 378頁」によれば、示談金40万円未満のケースが全体の67%、70万円未満のケースが全体の90%を占めているようです。

これらを踏まえると、痴漢・盗撮については、一応、30~40万円が示談金の相場ということができそうです。

ただし、同じ被害者に対して何度も痴漢行為や盗撮行為を繰り返していたような場合には示談金が高額化することになるでしょう。

示談金の相場(暴行・傷害 編)

暴行についての罰則を定めるのは「刑法208条」であり、罰金刑については30万円以下の罰金に処すると定めてあります。

暴行とは、傷害に至らない程度の不法な有形力の行使をいうとされていますが、要するに、暴力を振るって人を怪我させるには至らなかった場合には暴行罪、怪我をさせてしまった場合には傷害罪という話になります。また、傷害罪(刑法204条)にも罰金刑は規定されていますが、その上限は50万円とされています。なお、罪名が暴行に留まる場合には、通常、被害者に治療費や休業損害などの損害は発生しませんが、傷害罪となるとこれらの損害も加わって来ますので、示談金が高額になる傾向があります。

「慰謝料算定の実務 第2版 千葉県弁護士会編 ぎょうせい 382頁」によれば、暴行罪の示談金としてはいじめ等の特殊な事案を除けば数万円~30万円であり、30万円を超えるものはないようです。

そうすると、暴行罪の示談金相場は、20万円前後と考えておけばよいでしょう。

他方で、傷害罪の示談金としては、加療1週間以内の事案では約半数が10万円以下、加療1週間~2週間の事案では約半数が40万円以下、加療2週間~1ヶ月の事案では約半数が100万円以下とされているようです。

傷害罪の場合には、上で述べたように治療費や休業損害なども損害の項目として考慮すべきことになってくるため、純粋な慰謝料以外の名目で示談金が高額化することもよくあります。特に加療2週間を超えるのケースは具体的な事情によって損害額がかなり異なってくると思われます。

そこで、傷害罪の示談金相場は、加療2週間以内の場合で30万円~50万円程度と考えておけばよいでしょう。

示談ができない!どうすべき?

このように、刑事事件の示談についてもある程度の相場観は確かにあるのですが、刑事事件の示談に際しては、「加害者を許す」とか「刑事処罰を求めない」、「被害届(又は告訴)を取り下げる」などの内容を盛り込むことが通常ですので、被害者がどうしても加害者を許せないとか、示談金に納得ができないという場合には示談することができません。

そのような場合には、弁護人としては、示談金相当額を供託する、贖罪寄付をする、示談経過を報告書として証拠提出するなどの弁護方針を立てることになると思いますが、いずれも示談成立のような強い効果は見込めません。

どうしても示談したい加害者としてできることは、出来る限りの金銭を用意しつつ、被害者にも示談のメリット(≒示談できないことのデメリット)をうまく伝えることのできる弁護士に示談交渉を依頼するほかないでしょう。

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