交通事故に遭ったら先ず確認したい6つのこと

突然の交通事故、この後どうなる?

自動ブレーキシステムなどが普及し始めた現在でも、平成26年に発生した交通事故は57万3842件、交通事故による死傷者は71万5487人いるとされます。

交通事故に遭ってしまうと、その後の通院、保険会社とのやりとり、医者とのやりとり、賠償金(示談金)の交渉など、すべきことが山積みとなります。ここでは、交通事故にあった後の流れや注意ポイントをおさらいしておきましょう。

ポイント1-まず警察!

比較的軽微な衝突であっても、首や腰を傷めることはありえます。

そのため、ちょっとした交通事故だと思って警察に連絡せずにいると、いざ首や腰が痛くなったので通院したいと思っても、相手方の連絡先が分からなかったりして適切な賠償を受け取ることができなくなる可能性があります。

ですので、交通事故に遭ったらまず何はともあれ警察を呼ぶことです。

このとき、相手方や「物損事故扱いにしてほしい」と言われることがあると思いますが、その時点で体に痛みなどの変調があった場合には必ず人身事故扱いにしてもらいましょう。また、その時点では特に痛みなどを感じていなくても数十分後、数時間後に痛みを覚えることもあります。これは、交通事故に遭ったことで興奮していた体が落ち着きを取り戻して、痛みを感じることがあるためです。

ですので、「物損事故扱いにしてほしい」と言われた場合には、安易にYesと答えず、Yesと答える場合でも「数日以内に痛みなどが出た場合には人身事故に切り替える」などの条件を付けておくほうが賢明だといえます。

もっとも、絶対に物損事故扱いではダメだということもなく、診断書等があれば通常は加害者側の保険会社は治療費をある程度は負担してくれるはずですし、慰謝料などを賠償する責任も持ちます。

ポイント2-すぐ病院!通院継続!

当たり前のことですが、交通事故で体に変調を来たしたら、すぐに病院に行くべきです。

症状も軽いし忙しいからとか、逆に症状が重すぎて病院に行けないなども危険です。

これには2つの理由があり、一般的にいって治療は早めに対処するほど効果が高いということと、すぐに病院に行かないことは賠償の問題になるからです。

賠償の問題になるとは、具体的には、その症状が交通事故で生じたということを立証することが難しくなる危険があるということです。

たとえば交通事故に遭ってから1ヶ月ほど病院に行かず、その後に病院に通いたいと思っても、いまある症状が1ヶ月前の交通事故によるものなのか、それ以外の原因によるものなのか分からなくなってしまうおそれがあります。

もちろん、被害者としては、「交通事故の影響に決まっている!」という確信があるのだと思いますが、裁判の場で客観的な立証が求められると、通院期間が空くことはどうしても不利になります。また、裁判まで行かない場合であっても、結局裁判の場で不利になることは示談交渉の場でも不利になります。

ですので、交通事故で体に変調を来たしたら、まずは病院に行くこと、そして通院を継続することが重要です。

また、交通事故被害者の中で最も多い傷病が頚椎捻挫や腰椎捻挫などのムチ打ちですが、この場合、整骨院や鍼灸院への通院ではなく整形外科へのリハビリ通院をしっかりと行うことが必要です。

整骨院の方が夜遅くまで空いているとか、丁寧に対応してくれるという理由だけで、整骨院等にしか通っていないと後々、大変な思いをすることになる可能性があります。もちろん、整骨院等に通っていけないということはないのですが、基本的に整骨院等への通院は医師の指示がいるとするのが裁判所の考え方ですし、後遺障害の等級申請をすることになった場合には整骨院等への通院はあまり等級認定の評価となっていないように思われるからです。

さらに、交通事故による慰謝料は、通院期間と実通院日数をベースに算出される扱いですので、実通院日数が少ないと慰謝料も少ないということになりかねません。もちろん、多ければいいというものでもないのですが、たとえばムチ打ちの場合には週2~3回程度のリハビリ通院はしておいた方がいいでしょう。

ポイント3-出来るだけ早く弁護士に相談!

突然弁護士に相談?と思われる方もいるかもしれません。

もちろん、インターネットなどで情報収集をしたりすることも重要ですが、やはり具体的な事情を加味して今後の流れや見通しの説明を受けたり、注意点を教えてもらえることは大きなメリットになります。

特に、交通事故については無料で相談してくれる法律事務所や弁護士も増えてきましたので、まず気軽に問い合わせをしてみるという感覚でもいいので、弁護士に相談されてみることをお勧めします。ときどき、等級が認定されてから相談に来てくださいとか、12級以上の等級認定の可能性がないので相談できません、などという敷居の高い法律事務所や弁護士もいますが、等級認定前や14級以下の等級の場合でも弁護士に相談するメリットはあるはずです。

もちろん、すぐに依頼しなくてもいいのですから、まず相談するだけ相談してみましょう。

ポイント4-適切な後遺障害等級認定

もし半年以上通院しても痛みなどの症状が回復しない場合(もちろん傷病によってはもっと長く治療すべき場合もありますが)には、後遺障害等級認定を考える必要があります。

この後遺障害等級認定は、自賠責調査事務所が行うのですが、示談交渉にあたっても非常に重要です。

なぜなら、保険会社は、自賠責の等級認定がされないことには後遺障害部分の賠償は絶対に応じてきませんし、裁判所も自賠責の等級認定がされていない後遺障害について損害認定することに非常に消極的だからです。

また、現在の賠償制度の枠組みでは、治療期間に対応する賠償よりも後遺障害に対応する賠償の方が高額になる傾向にあるので、症状に応じた適切な等級が認定されないことには、適切な賠償が得られないということになりかねないのです。

ポイント5-自分の保険を確認!

また、交通事故に遭った場合には、自分側(自分や家族)の保険を確認する必要もあります。

まず確認すべきは自動車保険ですが、自動車保険に入っていないという方も諦めてはダメです。火災保険やクレジットカードに付帯する保険などで、今回の交通事故に使える保険が付いている可能性があります。

大きくいうと、自分側の保険として使える可能性があるものとして、人身傷害保険、搭乗者保険、弁護士費用保険があります。

人身傷害保険は、相手が無保険である場合や自賠責保険しかかけていなかった場合に役に立つ保険ですが、実は一番の効果は自分側に過失があるような場合に発揮されます。たとえば、過失割合が7:3の交通事故に遭った場合、その交通事故の損害が1000万円だとすると、本来相手に賠償請求できるのは700万円ということになります。ところが、人身傷害保険が使える場合には、先に人身傷害保険金を受け取ることで、残りの300万円についても自分の手元に残せる可能性があるのです。これはとても大きなメリットです。

搭乗者保険は、通院や入院の日数に応じて一定金額支払われるもので、受け取ったとしても相手からの賠償金が減額されることがない点が特徴です。これも加入しているのであれば受け取っておくべき保険です。

弁護士費用保険は、示談交渉などのために弁護士に依頼することになった場合に弁護士費用を一定限度で支払ってくれる保険です。火災保険などにも付いていることがありますので、確認することをお勧めします。

ポイント6-慰謝料は4200円✕通院日数じゃない!

交通事故の慰謝料は4200円✕通院日数(✕2)だという基準もないわけではないのですが、最終的な慰謝料の基準はこの計算式ではありません。

これは、自賠責の慰謝料算定基準であり、治療費や休業損害なども含めた120万円の枠の中で決まっている慰謝料の算定方法です(なお、正確には、月15回通院以上は通院日数にカウントしないなどの制限もあります)。

もし、保険会社からの示談提案書などに上記の計算式が載っている場合には注意が必要です。

本来は、裁判基準と呼ばれる上記自賠責基準よりも高い基準での慰謝料算定方法があるにもかかわらず、自賠責基準の安い慰謝料で示談をしようとしてきているからです(残念ながら、被害者側に弁護士がついていない場合にはそれが通常ですが・・・)。

裁判基準については具体的な計算式というより、慰謝料算定表のようなものがあり、それを用いることがほとんどです。たとえば、交通事故でムチ打ちになった方が週3回のペースでリハビリ通院し、合計6ヶ月通院した場合の裁判基準は89万円です(赤い本基準)。

また、後遺障害が残った場合には、後遺障害慰謝料というものが等級に応じて認められますが、それも自賠責基準と裁判基準では大きな差があります(たとえば14級の場合には裁判基準慰謝料は110万円ですが、自賠責基準慰謝料は43万円です。)。具体的な事情によっては通常の裁判基準よりも更に増額になる可能性もあります。

いずれにしても、慰謝料の説明1つとっても決して簡単ではないので、交通事故に詳しい弁護士に直接相談されてみると良いと思います。

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